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パチンコホールの業態
パチンコ屋の電気代はいくら? 電気代高騰とパチンコ屋への影響や対策を解説
最終更新日:日本ではここ数年、電気料金が大幅に高騰しています。この影響は一般家庭に留まらず、企業や店舗、特に電力を大量に消費する業態にも大きな打撃を与えています。その中でもパチンコ屋は、電気料金が経営に大きく影響する業種の一つです。本記事では、パチンコ屋の電気代の実態、電気代高騰の背景とその影響、そして対策について詳しく解説します。
目次
パチンコ屋に影響を与える電気代の高騰
日本の電気代高騰の推移
電気代が高騰している主な理由には以下の3点が挙げられます。
- 燃料価格の高騰:2022年以降、ウクライナ情勢の影響で火力発電の主要燃料である天然ガスや石炭の価格が急騰しました。これに加えて、脱炭素社会への移行による化石燃料から再生可能エネルギーへの転換の加速が、燃料コストの高騰を引き起こしています。
- 円安の進行:日本は火力発電の燃料をほぼ全量輸入に頼っているため、円安が進むと燃料輸入コストが増加します。2023年には円安が顕著になり、電力会社の経費が圧迫される事態が続きました。
- 再エネ賦課金の上昇:再生可能エネルギーの導入を推進するための費用を利用者が負担する制度により、電気料金に上乗せされる再エネ賦課金が年々増加しています。2024年には単価がさらに上昇する見通しです。
また、新電力会社は電力市場からの仕入れ価格高騰の影響を受けやすく、電力の提供価格を見直す事例が相次いでいます。この結果、2023年時点で法人向けの高圧電力料金は、2019年に比べ約2倍以上に増加したケースもあります。
(引用:しろくま電力「【2024年10月】電気代はどれくらい値上げした?推移と今後の予測、法人・家庭でできる電気料金の高騰対策を解説!」より)
電力会社の提供する電力代プラン
電力会社が提供するプランは、一般的な固定料金型プランと市場連動型プランに大別されます。
固定料金型プラン
固定料金型プランは、一定の単価で電力を供給する形式です。電力価格の急変動があっても料金が一定であるため、費用を予測しやすいというメリットがあります。ただし、料金の見直しが遅れることがあり、燃料価格の高騰が続く状況では割高になる場合もあります。
市場連動型プラン
市場連動型プランは、JEPX(日本卸電力取引所)の市場価格に基づいて料金が変動する形式です。市場価格が低下している時間帯にはコストを抑えられる可能性がある一方、市場価格が急騰した際には費用が大きく増加するリスクも伴います。特に再生可能エネルギーの普及が進む時間帯には低価格が期待できますが、安定性には課題があります。
パチンコ屋の電気代はどれくらいかかるのか?
パチンコ屋の電気料金は、店舗の規模や設備によって異なります。以下は300台から1000台規模の店舗における電気料金の目安です。
- 300台規模:約100万~150万円/月
- 500台規模:約220万~300万円/月
- 1000台規模:約420万~520万円/月
特に電力消費の割合としては、空調が約50%を占めており、次いで照明と遊技機がそれぞれ20%程度となっています。このため、夏季や冬季の空調使用が増える時期には、電気料金がさらに跳ね上がる傾向があります。
また、一部の店舗では、契約電力プランの変更や新電力会社との契約更新時に想定以上のコスト増加が発生するケースが報告されています。例えば、近畿圏のある店舗では、契約の基本料金単価が3.9倍に跳ね上がり、年間約700万円の追加負担が発生したという事例もあります。
パチンコ屋ができる電気代の節約とは?
電気料金の高騰を受け、パチンコ屋ではコスト削減のためにさまざまな対策が求められています。以下では、具体的な節電施策を紹介します。
照明の効率化
LED照明の導入
パチンコ屋において照明が電力使用量の約20%を占めています。LED照明への切り替えは、従来の蛍光灯やハロゲンランプに比べ消費電力を大幅に削減できます。実際に、全国の多くのホールがLED化を進めており、電気代削減に成功した事例が多数報告されています。
LED照明の寿命は一般的な蛍光灯の約2倍以上で、長期的なコスト削減も期待できます。補助金を活用することで初期投資を抑えられる点も魅力です。
空調効率の改善
最新の空調設備への更新
空調はパチンコ屋の電力使用量の約50%を占めており、最も大きな削減効果が見込める分野です。高効率の空調設備に更新することで、消費電力を大幅に削減できます。また、省エネエアコンの導入により、年間で数十万円以上のコスト削減が可能です。
室外機の負荷軽減
空調室外機の負荷を減らすため、日除けや遮熱コーティングを施すことが有効です。これにより、排熱効率が向上し、余分なエネルギー消費を防げます。
店内の断熱対策
ガラス窓への断熱フィルムや遮熱コーティングの追加も効果的です。特に大きな窓を持つホールでは、夏季の冷房負荷や冬季の暖房負荷を軽減できます。中堅ホール法人の事例では、この対策だけで15%の使用電力量削減が実現しました。
使用電力の管理
デマンドコントローラーの導入
デマンドコントローラーを活用することで、電力使用のピークを抑え、全体の電力使用量を最適化できます。福井県のホール法人では、これを導入したことで使用電力量を10%削減し、年間の電気代を大幅に節約しました。
島設備の稼働タイミングの見直し
ホールの稼働開始時に、すべての遊技機を一斉に稼働させるのではなく、順次電源を入れることでピーク電力を抑えることができます。新潟県のホール法人では、この手法を採用し、32%の電力使用量削減を達成しました。
パチンコ屋の電気代は今後どうなるのか?
電気料金高騰の要因と将来予測
電気料金が高騰する背景には、燃料費高騰や円安のほか、再エネ賦課金や託送料金の増加があります。2024年現在も、高圧電力の平均単価は27円/kWhと高止まりしており、短期的な改善は見込まれていません。
再エネ賦課金の上昇
再エネ賦課金は2031年ごろまで上昇が続く見込みです。この負担がホール経営にとってさらなる圧迫要因となります。
燃料費調整額の影響
燃料費の高騰が続く中、燃料費調整額が過去3カ月分の燃料価格に基づいて設定されているため、調整のタイムラグがあります。このため、燃料価格が下落しても料金に反映されるまでに時間がかかるという課題があります。
電力供給の不安定性
電力需給のひっ迫も懸念材料です。老朽化した火力発電所の廃止や原子力発電所の稼働停止により、日本全体の電力供給量が減少しています。この状況が続くと、さらなる電力料金の上昇や電力供給の制限が課される可能性があります。
電気代の高騰は、パチンコ屋をはじめとするエネルギー多消費業種にとって重大な課題です。しかし、適切な節電対策を講じることで、コスト削減は十分可能です。
- LED照明や高効率空調の導入
- デマンドコントローラーによる使用電力量の管理
- 補助金の活用による初期投資の負担軽減
これらの対策を講じることで、電気代の負担を軽減し、持続可能な経営を実現する道が開けます。