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パチンコ屋のATM設置はなぜ減ったか? パチンコ屋店内ATM撤去と抑制の動き
最終更新日:パチンコ業界では、依存症問題への対策を目的とした店舗内ATMの撤去や抑制が注目されています。一部の企業が積極的に取り組みを進める一方で、業界全体の対応には課題も残されています。本記事では、パチンコ店内ATM設置が減少している背景や、依存問題との関係、さらには主要企業の取り組みについて解説します。
目次
- パチンコ屋店内のATM設置が問題視され始めた
- パチンコ依存問題(のめり込み)とATMの関係
- パチンコ屋ATM撤去の動き
- パチンコ屋ATMの抑制への動き
- パチンコ屋ATMを提供する株式会社 トラストネットワークス
パチンコ屋店内のATM設置が問題視され始めた
パチンコ屋にATMが設置されるようになったのは2000年代の初頭です。当初は利用者の利便性向上を目的として導入されました。しかし、ATM設置がのめり込み(依存)を助長しているとの批判が徐々に高まりました。
特に問題視されたのは、「ATMを利用することで持参した資金を使い果たした後でも遊技を続けやすくなる」という点です。この利便性が、依存問題を悪化させる可能性があると指摘されました。また、ATM設置数が増加する中で、一部のパチンコ店では店舗内の1割近くがATMを導入する状況が見られたことも、社会的な批判を招きました。
このような背景から、政府や業界団体が中心となり、ATM設置の是非をめぐる議論が活発化し始めました。
パチンコ依存問題(のめり込み)とATMの関係
パチンコ依存問題は、長年にわたり業界内外で取り沙汰されてきた課題です。パチンコは適度な娯楽として楽しむことが推奨されていますが、一部の利用者にとっては生活を脅かす存在になっています。特にATMの存在は、依存のリスクを高める要因の一つとされています。
ATMの利便性は、短時間で現金を引き出せる点にありますが、これが冷静な判断を妨げる要因ともなります。依存症対策としての観点から、ATMの利用制限を設ける動きが見られたものの、その効果については意見が分かれています。
例えば、一部のATMには「抑制機能」が搭載されており、1日の引き出し限度額や利用回数を制限する仕組みが導入されています。しかし、依存を根本的に防ぐには、ATM自体の撤去が必要だと主張する専門家も多く、対策には一定の限界があることが指摘されています。
パチンコ屋ATM撤去の動き
パチンコ店内のATM撤去は、ギャンブル依存症対策の一環として進められています。2019年には、政府が「ギャンブル依存症対策推進基本計画」を閣議決定し、店舗内のATMやデビットカードシステムの撤去を推進する方針を明らかにしました。
この計画を受け、マルハンをはじめとする業界大手9社は、自社ホールに設置されているATMの契約更新を行わず、順次撤去する方針を発表しました。この取り組みは、業界全体で依存症対策を強化する象徴的な動きとして注目されています。
ただし、ATM撤去を進める上で、実務面での課題も浮上しています。ATM設置業者であるトラストネットワークスは、撤去が進むことで事業の継続が困難になるとしています。同社は、依存防止機能を備えたATMの必要性を訴え、撤去方針に一定の疑問を呈しています。
パチンコ屋ATMの抑制への動き
完全撤去が進む一方で、抑制策としてのATM設置が模索される動きもあります。トラストネットワークスが提供する「抑制機能付きATM」は、引き出し金額や回数を制限することで依存を防止する設計が施されています。
具体的には、日額3万円、月額8万円までの利用制限があり、同一のATMネットワーク内での利用状況を集中管理する仕組みが導入されています。また、取引開始前に依存症相談窓口の案内を表示するなど、利用者が冷静な判断を下せるよう工夫されています。
このような抑制機能は、依存を軽減する効果が期待されていますが、根本的な解決策とするには不十分との声もあります。抑制策と撤去方針のどちらを優先すべきかについては、業界内でも意見が分かれています。
抑制機能のあるパチンコ屋店内のATM
抑制機能付き銀行ATM | コンビニなど一般的な銀行ATM | |
【利用制限】 | ||
ローン・クレジットカードの利用 | 不可 | 可能 |
同日の利用金額上限 | 3万円 ※1 | 50万円など ※銀行により異なります |
同月の利用金額上限 | 8万円 ※2 | 無制限 |
同日の利用回数上限 | 最大2回 | 無制限 |
【注意喚起・案内】 | ||
利用開始前ののめり込み注意喚起と相談窓口案内画面 | 全ての利用時 | なし |
同日の複数回利用の場合の警告画面 | 2回目の利用時 | なし |
同月の利用金額上限に近づいた場合の注意・警告画面 | 4万円、6万円超過時 ※3 | なし |
のめり込みが心配な場合の相談先の案内 | レシート裏面による案内 | なし |
【利用停止】 | ||
遊技に問題を生じていると自覚した人の利用停止 | 本人の利用停止申告に基づく利用停止 | なし |
パチンコ屋ATMを提供する株式会社 トラストネットワークス
トラストネットワークスは、エンターテインメント業界向けに特化したATMサービスを提供している企業です。同社が提供するATMは、利用者の過剰なのめり込みを防ぐことを主目的として設計されています。
同社のATMには、利用制限や注意喚起画面、のめり込み相談窓口案内など、一般的なATMにはない機能が多く搭載されています。また、ATM利用者の自己申告により特定カードでの取引を制限する仕組みも導入されています。
一方で、政府の撤去方針が進む中、トラストネットワークスの事業運営には厳しい影響が及ぶと見られています。同社は、撤去以外の依存対策の必要性を訴えるなど、撤去一辺倒ではない議論を求めています。
パチンコ店内ATMの撤去や抑制は、ギャンブル依存症対策の一環として進められています。しかし、完全撤去が最善の方法であるかについては議論が続いています。ATMがもたらす利便性と依存問題とのバランスをどう取るかは、業界全体の重要な課題です。 業界関係者や政策立案者が協力し、利用者の健全な遊技環境を整える取り組みを進めることが求められています。パチンコ業界で働くことを目指す方々にとっても、この課題を理解し、健全な業界の発展に貢献する視点が求められます。